
本ページは、折々の感慨、慶賀、追悼、時局への思い、人生の節目における所懐を、 七言絶句の形式に託して詠じたものです。
漢詩本文に加え、作成日、押韻、読み下し文を付し、 漢詩に親しまない方にも詩意を味わっていただけるよう配慮しました。
傘寿忽ち来たりて、意は晏然たり。
病躯を厭わず、志は逾いよ堅し。
希う所いまだ達せず、時まさに暮れんとす。
想いを籠めて殷然たり、素意を伝えん。
傘寿を迎え、歳月の速さを感じつつも、心は穏やかである。 病を得た身ではあっても、志はいよいよ堅く、 なお達し得ぬ願いを後世に伝えたいとの思いを詠じた一首である。
喜寿の春来たりて、徳はいよいよ温かなり。
家を持すること半世、児孫を養う。
曾孫をもまた見て、門庭に慶びあり。
願わくは康寧を保ち、寿さらに敦からんことを。
喜寿を迎えた夫人への感謝を詠じた一首である。 半世にわたり家を支え、子や孫を育み、 さらに曾孫をも見るに至った家門の慶びを寿ぎつつ、 今後の健康と安寧を願う思いが込められている。
甲辰、葉月、白玉の童。
曾祖、児を抱きて歓び窮まり無し。
山は屹ち、波は荒れて、道険しと雖も、
奚ぞ疑わん、高き志をもって蒼穹を駆けんことを。
初孫の沙紀さんに元気な赤ちゃんが生まれることを予期して、 小生等の喜び一入であるとの思いを詠じた一首である。 また、男たる曽孫には、人生の山坂や荒波を越え、 高い志を持って大きく飛躍してほしいとの願いが込められている。
辛丑、天瞑は目睫の間たり。
軒昂たり今日、尚お紅顔。
大業の成る無く、光陰は過ぐ。
志を高くし、敢然として艱難を超克せん。
後期高齢者の域に入ったことを自覚しつつも、 精神的にはなお青年の気概を失わず、 未だ成し遂げざる大業を思い、残された時を惜しみながら、 高い志をもって艱難を乗り越えようとする決意を詠じた一首である。
電暈蔓延りて、邦は茫然たり。
恐々として、悉皆は乱蝉の如し。
孰れの日にか、朋来たりて桜下の宴をなさん。
唯だ応に耐え忍びて、終焉を待つべし。
コロナが世界を席巻し、各国の対策にもかかわらず終息が見えない中、 春爛漫の時節でありながら花見もできない日々への思いを詠じた一首である。 いつの日か友人たちと再び桜の下に集い、宴を楽しめる日を願いつつ、 今はただ耐え忍ぶほかないとの心境が込められている。
淡く照らす蒼天、日は正に香りたり。
城を出でし御列に、輝く光有り。
君臣は一体にして、共に相和す。
寧壱にして、誰か思わん、国運の昌んなるを。
今上天皇の即位御列の儀が、秋晴れのもと晴れやかに挙行されたことを奉祝して詠じた一首である。 前日の国民祭典とあわせ、君臣一体の姿が示されたことへの寿ぎと、 我が国の弥栄、国運の隆昌を願う思いが込められている。
正に青天の霹靂たり、強き心の傷むるは。
難き術にて巣を除き、病装を脱せん。
誰か知らん、長途ありて任は未だ就かざるを。
小身なれど、雀躍として陽光を浴びん。
検診で胸水ありとの診断を受け、検査入院の後に大手術が決まった際の心境を詠じた一首である。 まさに青天の霹靂とも言うべき事態であったが、なお果たすべき任が残っているとの思いから、 手術を乗り越え、再び陽光を浴びて歩み出そうとする決意が込められている。
九段の陶櫻は、俗喧を絶す。
名工は想いを込めて、忠魂を造る。
須らく明日へ、御霊の志を伝うべし。
祭神を崇め敬いて、我はその恩に報いん。
靖國神社で行われたさくら陶板の内覧会に参加した際の所感を詠じた一首である。 各都道府県を代表する陶工が桜弁を象った陶板を焼き、慰霊の園に奉納したことに触れ、 御霊の志を未来へ伝え、祭神への崇敬と報恩の思いを新たにする心情が込められている。
新皇は代を継ぎ、感窮まり無し。
令和は吉祥にして、淑気通ず。
古を知り、欣然として国の礎を明らかにし、
心を一にして協力し、再び興隆せん。
皇位継承と改元を前に、国民挙ってこれを寿ぎ、 新たな御代が令和の名のごとく吉祥に満ちた時代となることを願って詠じた一首である。 古を知り、国の礎を再確認し、心を一にして我が国の再興隆に努めるべきとの思いが込められている。
平成三十年を過ぎ、流るる星の如し。
災い有るも、知るべし、草色は青きを。
御代は継承し、萬歳を期すべし。
我が邦の永き安寧を希求せん。
平成から新たな御代へ移る直前の思いを詠じた一首である。 平成の三十年は流星のように過ぎ、災害も多い時代であったが、 なお日本は力強く歩み続けてきた。 次代においても、万世にわたる御代の継承と、我が国の平和と安寧を願う心情が込められている。
朋有り、集い来たりて一筵を張る。
今を語り、旧を懐かしみ、気は軒昂たり。
老雄自ら識る、壮心の在るを。
固く三春、一堂に会すを約す。
高校の関東地区クラス会において、久方ぶりに同級生が相集った折の感慨を詠じた一首である。 五十余年を経た再会でありながら、旧交を温め、今を語り合う中で、 老いてなお気概衰えぬ友人たちの姿に触れ、再会を固く約した心境が込められている。
歎じて見る、車窓に錦繍の奔るを。
楓は清水に映じ、青き苔は繁し。
忽ちにして知る、何れの日にか三功の夢を。
唯だ応に永く存すべし、万古の園。
八幡平・十和田国立公園方面への紅葉旅行に参加し、 車窓に流れる錦繍の景色、奥入瀬の清流と苔、楓の美しさに感動した折の一首である。 奥入瀬の紹介と保全に尽くした人々の志に思いを致し、 この景勝が万古に存続することを願う心情が込められている。
夢囘り、秋陣、東奔の聲。
各々乾坤を極め、政経を問う。
四海波高く、風は地を捲く。
民は虚実を詳らかにし、安寧を託さん。
国難への対応が問われる総選挙に際し、各党・各候補の公約や主張を見極め、 国民が虚実を正しく判断して国家の安寧を託すべきとの思いを詠じた一首である。 内外の情勢が不安定な中、政治の責任と有権者の判断の重さを意識した詩である。
待望す、陽光尽日の程。
名桜の古木は、眼前に横たわる。
生憎にも蕾は固く、一園寂たり。
此の地を春人、再び訪い行かん。
日本三大桜の一つである神代桜を訪ねた折の所感を詠じた一首である。 古木を眼前にしながらも、蕾はまだ固く、満開の姿には出会えなかった。 しかし、その静かな佇まいに心を惹かれ、春を愛する者として再訪を期する思いが込められている。
孤島の壕を巡り、灼焼に耐う。
誰か知らん、敢闘して概然と夭せしを。
遠く妻子を離れ、団欒を夢みしならん。
静かに御霊を捧げ持ちて、本朝に向かう。
硫黄島における遺骨収集任務を終え、十七柱の御霊を捧持して本邦へ帰還する前夜の思いを詠じた一首である。 灼熱の孤島において壕を巡り、かつて敢闘の末に斃れた将兵の無念と、 遠く家族を思ったであろう心情に思いを致しつつ、 静かに御霊を本朝へお連れする厳粛な感慨が込められている。
志を抱き、軍務に一路奔る。
恍然として章を賜り、二たび樽を傾く。
四囲蠢動し、雲湧くが如し。
老体自ら鞭打ち、猶お恩に報いん。
平成二十八年秋の叙勲において、瑞宝中綬章を賜ったことへの感謝と所懐を詠じた一首である。 長年の自衛官勤務を省みつつ、受章を単なる栄誉としてではなく、 なお日本のために尽くせとの励ましとして受け止め、 老体に鞭打って報恩の道を歩もうとする決意が込められている。
再び宿痾に襲われ、痛みに呻くこと頻りなり。
遠き医に術を施され、苦吟の人となる。
農事能わず、焦る心は急なり。
児と戯るを相夢みる、老大の身。
腰部脊柱管狭窄症の痛みに悩まされ、治療を受けながらも、 なお完治には至らぬもどかしさを詠じた一首である。 畑仕事も、子供たちとの交流も思うようにできず、 一日も早く本復し、従前の日常に戻りたいとの切なる願いが込められている。
3 遊 9篇
〇74 遊與児童(H25/7/15作)
〇62 楽紅白蝋梅於宝登山(H23/2/26作)
〇58 桜漫遊(H22/4/9作)
〇50 想毛象本邦初公開(H20/1/19作)
〇45 諏訪湖上花火(H19/8/21作)
〇43 遊河口湖(H19/4/20作)
〇33 愛蝋梅宝登山(H18/2/17作)
〇31 遊南洋島(H17/11/27作)
〇 8 遊湿原(H15/4/30作)
4 第5師団 6篇
〇37 慶祝凱帰(H18/7/29作)
〇23 大慶帰還(H16/6/7作)
〇20 赴援伊拉克(H16/2/9作)
〇13 旅承師団 (H15/10/29作)
〇12 有終美(H15/9/28作)
〇 5 熊師団(H15/2/9作)
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Ⅲ 国内外情勢
1 東アジア 4篇
〇67 風雲急韓半島(H23/12/30作)
〇61 当立国難(H22/12/18作)
〇55 号弾発射偶感(H21/4/13)
〇28 愁思日中(H17/6/16作)
2 災害 3篇
〇65 願復興(H23/8/18作)
〇59 讃救出(H22/10/18作)
○52嘆岩手・宮城内陸地震(H20/6/21作)
3 政治 3篇
〇47 希再起丞相(H19/9/22作)
〇66 贈泥鰌宰相(H23/10/23作)
〇44 有異論参議院選(H19/7/28作)
4 世相 5篇
〇57 祈雄飛(H22/3/28作)
〇49 如何内憂外患(H19/12/31作)
〇46 斬汚吏((H19/9/7作)
〇30 憂世相(H17/8/13作)
〇29 先輩苦節六十星霜(H17/6/28作)
5 慶 1篇
〇73 慶遺産登録(H25/5/2作)
6 希望 2篇
〇60 薩摩武士渡航記読後感(H22/11/13作)
〇57 祈雄飛(H22/3/28作)
7 イラク 6篇
〇37 慶祝凱帰(H18/7/29作)
〇23 大慶帰還(H16/6/7作)
〇20 赴援伊拉克(H16/2/9作)
〇17 寄壮途(H15/12/22作)
〇16 越非命赴(H15/12/7)
〇 7 想革正(H15/3/13作)
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Ⅲ 季節・風景・その他
1 新年 2篇
〇19 元旦拝旭日(H16/1/2作)
〇 2 癸羊詞(H14/12/31作,H15/1/12推敲)
2 春 4篇
〇58 桜漫遊(H22/4/9作)
〇41 早春(H19/3/2作)
〇22 立春賦(H16/3/14作)
〇 6 風和春来(H15/3/21作)
3 夏 4篇
〇35 初夏郊行(H18/5/2作)
〇26 集夏祭(H16/7/27作)
〇25 猛夏(H16/7/14作)
〇10 十勝初夏(H16/6/29作)
4 秋 1篇
〇14 晩秋(H15/11/8作)
5 冬 7篇
〇48 對聖誕樹(H19/12/22作)
〇32 大寒波襲来(H18/1/16作)
〇18 孫来遊於冬十勝(H15/12/31)
〇15 初冬(H15/11/8作)
〇 4 豪雪(H15/1/15作)
〇 3 豪雪朝 (H15/1/5作)
〇 1 滑白銀(H14/12/29作)
6 富士山・山 4篇
〇73 慶遺産登録(H25/5/2作)
〇24 自茅屋遠望富嶽(H16/7/10作)
〇33 愛蝋梅宝登山(H18/2/17作)
〇24 自茅屋遠望富嶽 (H16/7/10作)
7 その他 3篇
〇36 願神風(H18/6/13作)
〇27 日比谷音楽堂(H17/5/29作)
〇 9 望郷(H15/5/28作)
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